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ストレスは中性脂肪をふやす

ストレスとは、人体に何らかの外的刺激を受けたとき、その刺激に対して心身が起こす反応のことです。ストレスは、そのときの心身の状態、生活環境、また、その人の人生観や価値観によって、感じ方も現れ方も違います。

ストレスによる変調で、多くの人が経験するのは、自律神経(意志とは関係なく内臓などの働きを調節する神経)のバランスの乱れでしょう。心身が何らかのストレスを感じると、自律神経が緊張し、ホルモンの分泌が異常をきたします。緊張すると、胸がドキドキしたり、顔が赤くなったり、手足が震えたり、汗をかいたりすることがあります。これは、自律神経の変調によるもので、ストレスがなくなると平常に戻ります。

しかし、ストレスが強い場合、また長期間持続した場合、もっと深刻な問題が発生することもあります。血圧が上がり、脈拍数がふえ、血液はかたまりやすくなります。このような状態が長く続くと、やがては動脈硬化を起こし、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞へと進んでしまいます。ストレスは、心臓病や脳卒中の危険因子でもあるのです。
ストレスは、中性脂肪の増加とも無縁ではありません。

ストレスが強いと自律神経のバランスがくずれ、ホルモンの分泌に変調が起こるといいましたが、過剰なストレスは特に副腎皮質ホルモンと甲状腺ホルモンに影響を与え、血液中にたくさんの遊離脂肪酸が放出されます。この遊離脂肪酸は、肝臓でコレステロールと中性脂肪に合成され、血液に溶け込みます。ですから、血清コレステロールや血清トリグリセライド(中性脂肪)をふやすことになります。そして、この状態を放置しておけば、血液中には悪玉コレステロールが増加し、善玉コレステロールが減少します。

 

●ストレスは肥満にもつながる

現代はストレス社会と呼ばれ、まったくストレスのない生活を送るのは、残念ながら不可能といわざるを得ません。そこで、いかにストレスを解消するかを考えるのが、現実的な解決策ということになります。

ストレス解消の方法は十人十色、自分に合った方法をみつけるのがいちばんですが、あまりおすすめできない方法もあります。「やけ食い」「やけ酒」です。困ったことに、食べたり飲んだりで憂さを晴らそうとする人は少なくないようですが、これではますます、エネルギー過剰になり、肥満、中性脂肪の増化を招く結果となります。家族や親しい友人との会話を楽しみながら、楽しく飲んだり食べたりするのはいいでしょう。けれど、やけになって飲み食いをするのは、かえって体によくありません。

 

●「A型行動タイプ」の人は要注意

性格や行動のタイプによって、病気になりやすい人、なりにくい人がいます。動脈硬化の場合、「A型行動タイプ」に該当する人が進行しやすい傾向を持っています。
A型行動タイプとは、次のような人をさします。

  • 攻撃的な行動をとる
  • いつも時間に追われている
  • 同時にいくつかのことを考えている
  • 責任感が強く、仕事をきちんとこなす

このようなタイプの人は、ストレスもまた受けやすく、緊張状態が続く中で、コレステロールや中性脂肪がふえていき、高脂血症、動脈硬化へと進んでいくことが多いのです。

その結果、虚血性心疾患になりやすく、それによる死亡率も高いことが明らかになっています。
虚血性心疾患の危険因子としては、年齢、喫煙、血圧、コレステロールなどがありますが、A型行動タイプはそれらからは独立した危険因子です。このタイプに当てはまる人は特に、ストレスに対する注意が必要です。